相続登記において未成年の相続人が含まれていたケース
- 2017.04.24
状況
亡くなられた40代女性の相続人は、40代の夫と10代の子供の2人でした。
妻名義のマンションが1つありましたが、夫は子供が未成年であったため、どのように名義変更の手続きを進めたら良いか分からず相談に来られました。
司法書士の提案・お手伝い
相談者は、不動産を自分の単独名義に変更したいと考えられていました。相談者である親権者と子供が相続人となっていたので、子供の法定代理人に親権者が就くことはできず、子供の「特別代理人」を選任する必要がありました。
しかし、今回のケースでは10代の子供が生前、被相続人(亡くなられた母親)から相当な財産を受けていたことが分かったので、特別代理人の選任ではなく、「特別受益証明書」を利用した相続登記を提案させて頂きました。
特別受益証明書とは被相続人(亡くなった方)から既に相続分相当の財産の贈与を受けているので、相続する財産がないことを証明するもので、親権者が作成することもできます。
結果
父親に子供(未成年者)の「特別受益証明書」を作成してもらい、これを使って父親単独名義への登記手続きを行いました。
特別代理人の選任手続きが無かったので、時間と手間を大幅にカットすることができました。しかし、特別受益証明書は相続財産の一部だけに適用させることはできないので、不動産や預貯金等で未成年者に相続させたいものがあれば再考する必要があります。
また、相続放棄とも異なるので特別受益証明書を作成したとしても負債は引継がれます。特別受益証明書を利用するには注意点も多くありますので、専門家に相談されることをお勧めします。
この記事を担当した司法書士
かぜのおか司法書士法人
代表司法書士
岩切 康広
保有資格司法書士・宅地建物取引士・相続アドバイザー
専門分野相続・遺言・生前対策
経歴昭和53年鹿児島生まれ。 平成17年司法書士試験一発合格。鹿児島市内で司法書士法人に勤務の後、平成21年5月吉野町でかぜのおか司法書士事務所を開設。 現在、個人から企業まで幅広い範囲の相談案件に奮闘中。